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谷口隆

Author:谷口隆
数学を題材に綴るというちょっと変なブログですが,楽しんでいただけたらと思います.いろいろな数学を取り上げ文字に起こすことで,『数学とはどんなものか?』ということを,読者の方と一緒に考えていきたいと思っています.本人は,整数論という数学の一分野を研究しています.1977年生まれ.
今まで書いたもの一覧



連載コラム『数学者的思考回路』
(裳華房ウェブサイト,共著)

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『数理科学』9月号
月刊誌『数理科学』9月号の特集は,「数論と解析学」です.今回,この特集に寄稿する縁があり,

『概均質ベクトル空間のゼータ関数と解析数論 ~ガウスの円問題とその先~』

という題で記事を書きました。


「ガウスの円問題」の名で知られる、素朴で親しみやすい問題から始め、最近の研究の現状までを7項に綴ってみました。途中に挟んだイラスト1点が意外に好評でした。よければぜひご覧ください。サイエンス社の『数理科学』9月号のページはこちらです。

本などの紹介 | 00:24:07 | トラックバック(0) | コメント(0)
正17角形の作図
数学セミナー2015-1月刊誌『数学セミナー』9月号の特集は,「私の選ぶとっておきの数式」です.今回,この特集に寄稿する縁があり,正17角形の作図という題で記事を書きました.

『数学セミナー』 2016年9月号の目次

実は,正17角形は定規とコンパスで作図できます.正3角形と正5角形が定規とコンパスで作図できることは紀元前から知られていたのですが,正7角形や正11角形など,5より大きな素数個の頂点をもつ正多角形については,長らく作図方法が見つかりませんでした.このため,正7角形より先は作図できないかも知れないと思われていました.

●   ●

しかし1796年,ガウスによって,これが覆されました.このことについては,以前のブログバークレーの数学研究所や,連載コラム『数学者的思考回路』の第1回でも触れたことがありました.ガウスが見出したのは,


という具体的な公式です.この右辺は,整数から始めて,加減乗除と平方根の繰り返しによって表示されています.一般に,与えられた長さの加減乗除と平方根は定規とコンパスで作図できるので,この式は正17角形が作図可能であることを表しています.

●   ●

実は,ガウスのこの公式にはたくさんの親類がいます.それは例えば


のような式たちです.今回はこのような式を導出する方法について書きました.よければぜひお読みください.

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なお,ガウスは1796年3月30日に上の公式を発見したことになっています.生まれは1777年4月30日なので,発見したのは18歳のときだということになりそうですが,多くの文献で『19歳のときの発見』と説明されています.数学セミナーの記事では「ガウスが18歳のときに発見した式」としましたが,このことについてもし何かご存知の方は,情報をお寄せくだればありがたいです.

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本などの紹介 | 21:18:26 | トラックバック(0) | コメント(0)
本の紹介『数学の言葉で世界を見たら ― 父から娘に送る数学』
数学の言葉で世界を見たら ― 父から娘に送る数学
大栗博司著
幻冬舎(1800円+税)


このブログで以前に,大栗博司さんが連載している数学の言葉で世界を見たらというウェブマガジンを紹介しました.それが単行本になったので,もう一度紹介したいと思います.

本の帯には「楽しく学ぶ数学入門」とあります.この本が,数学の楽しさが分かるように,というのはまさにその通りなのですが,でもこの本はそれだけではありません.大栗さんは,数学を学ぶことの大切さや意義について,はっきりとした考えを持っておられて,序文と終わり,そしてあとがきで言葉にして語っておられます.テーマや話題の選定が素晴らしく,本に独特のリズムの良さ,奥行き,広がりが生まれているのは,その軸が明確だからかなと思います.

序文とあとがきについては,大栗さんのブログにも転載されています.
「はじめに」の転載があるページ
あとがきの転載があるページ
また,本文の最後はウェブマガジンで読むこともできます.
連載の最後のページ

内容の感想のようなものはまた改めて書けたらと思っていますが,なかなか類を見ない本だと思います.よければご覧になってみてください.(短いですが,今日はとりあえず.)

本などの紹介 | 12:40:06 | トラックバック(0) | コメント(0)
時枝さんの連載コラム『こどもの眼・おとなの頭』最終回
以前に紹介した、月刊誌数学セミナーに載っていた時枝さんのコラム『こどもの眼・おとなの頭』は、2年間の連載を経て、先月発売の2015年3月号が最終回でした。最終回のタイトルは

このゆびとまれ

で、指や手を使った簡単で面白い遊びの紹介です。本当に誰でも遊べる内容で、家で3歳の娘とやってみたらずいぶん喜んでいました。数学以前、科学以前の話題で誰もが部分的には知っているような遊びですが、コラムの途中にはさりげなく、ヘレン・ケラーとサリバン先生の(かの有名な)逸話を引きつつ、指や手が言葉にもなること、点字や手話を少し知ることで言語学習に新たな可能性が生まれるのではないか、と指摘があって、子供が遊ぶ様子を思い出すと、考えさせられます。

大栗博司さんの本『数学の言葉で世界を見たら』でも、まえがきに「僕は、数学の勉強は言葉を学ぶようなものだと思っている。」とあります。確かに数学でも、数学の用語を使って、問題になっている状況をピタリと言い表す一文を考え続けてついにそれにたどり着いたとき、そのときに理解できたような気持ちになることがあります。言語化してみること、あるいは言葉を学ぶこと、ということは人間の知的活動において相当の広がりを持っているのかも知れません。

とりとめのないことを書いてしまいました。時枝さんの24回の連載は単行本化されることを期待したいと思います。最終回の「このゆびとまれ」、機会があったらぜひご覧になってみてください。


本などの紹介 | 03:56:28 | トラックバック(0) | コメント(0)
バルガバさん
数学セミナー2015-1以前に時枝さんの連載が載っていると紹介した月刊誌『数学セミナー』の最新号は、今年あった国際数学者会議の特集号です。この会議は4年に1度開かれる数学界最大の国際的会合で、フィールズ賞もここで授与されます。今回は8月に韓国で開かれました。縁あって、4人のフィールズ賞受賞者の一人であるマンジュール・バルガバ(Manjul Bhargava)さんの業績紹介を数学セミナーに書きました。雑誌は今日から発売です。

『数学セミナー』 2015年1月号の目次

最近はフィールズ賞の授与に伴って、受賞者のプロモーションビデオが作られています。3分ほどの内容で、今は You Tube からもバルガバさんのビデオを見ることができます。

2014 Fields Medalist : Manjul Bhargava

インド人の血を引くバルガバさんは、タブラというインドの太鼓の熟達した奏者でもあり、ビデオの冒頭はタブラの演奏から始まっています。

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バルガバさんの専門は整数論です。フィールズ賞は、その分野の最先端の技術を総動員して大きな未解決問題を解いた(そして研究のステージを一段階進めた)ことに対し与えられることも多いですが、バルガバさんの研究はそれとはやや趣が異なります。バルガバさんは昔ながらのテーマを研究しつつ、そこに誰もが想像しなかったような鮮やかな数学的構造を幾つも見出しました。それによって、「楕円曲線の平均階数が有限である(より強く1未満である)」など、アプローチの見込みがないと考えられていたような問題を解決し、数学者に大きな驚きを与えています。これまでの受賞歴も大変華やかです。記事では受賞理由となった、数の幾何(geometry of numbers)とその応用に関する業績について、背景や問題意識から解説しました。

バルガバさんの研究はいずれも独特の鮮やかさと明晰さを備えていて,それが正しい理論の形だと人に感じさせる力があるように思われます.

科学雑誌などのバルガバさんのインタビューでは、話が音楽に及ぶことがあります。ご本人にとっては数学にもリズムやピッチがあり、音楽と数学という大きく異なる主題が意識の外で間接的に結びつき、数学の着想が得られることがあると話しています。---人間の思索は別のことを無心にしているときに無意識に進むことも多いことを思えば、これは特に不思議な話ではないかも知れません。それでも、自分にとっての音楽の役割を言葉にして語っているのは少し珍しく、ご本人の数学観や数学者としてのスタイルが現れていると言っていいのではないかと思います。

もしよければご覧になってみてください。 Amazon (なお、記事の最後に書いた文献案内のページはこちらです。)

本などの紹介 | 07:04:09 | トラックバック(0) | コメント(0)
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