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谷口隆

Author:谷口隆
数学を題材に綴るというちょっと変なブログですが,楽しんでいただけたらと思います.いろいろな数学を取り上げ文字に起こすことで,『数学とはどんなものか?』ということを,読者の方と一緒に考えていきたいと思っています.本人は,整数論という数学の一分野を研究しています.1977年生まれ.
今まで書いたもの一覧



連載コラム『数学者的思考回路』
(裳華房ウェブサイト,共著)

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五感を使う数学
数学ができるようになりたければ,五感を使って数学をすることが大切かな,と思っています.

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上達したいと思う限り,数学以外の科目でも,スポーツでも音楽でも絵でも,なんでも同じだと思います.例えばAさんがテニスにうまくなりたいと考えているとしましょう.Aさんは運良く,教えるのが上手なコーチに習っているとします.Aさんはそのコーチから,グリップの握り方や打つ時の姿勢,コート内の無駄のない走り方など,いろいろなことを教わります.上達するためには,コーチの言うことをよく聞き,体得できるように努力することが大切です.

しかしここで,もしAさんが本当に上達することに全神経を向けているなら,Aさんは必ずや自分なりの工夫もしてみるはずではないでしょうか.コーチはこう言ったけど,ちょっと持ち方を変えてみるとどうだろう?足の出し方を少し変えてはどうだろう?---このような試みは,多くの場合失敗に終わるでしょう.基本的には,経験豊富なコーチの方が正しいのは当然です.しかし,そのようなたくさんの試行錯誤の中から,ときどきAさんの身体にはよりよくフィットする動きが見つかるかも知れません.究極的には,一人ひとり,腕の長さも違えば,筋肉のつき方も違う,視力だって反射神経だって違います.人のやり方の字義通り完全なコピーなら,その人とは身体が違う以上,Aさんにとってベストの動きであるというのは望みようのないことです.コーチがどれほど教え上手であっても,Aさんの身体を持ってるのではない以上,Aさんにとってピッタリの動きは,最後の部分はAさんが見つけ出すしかありません.

そんな工夫のきっかけをたくさん得て,様々な工夫を凝らすためには何が必要でしょう?とっぷりとテニスの世界に意識を浸すのはもちろんですが,その上で,自分の感性を鋭敏にし,上達のきっかけは逃さないぞというぐらいの気持ちを持つことが大切ではないでしょうか.---これを一言で言い表すと,「能動的に学ぶ」ということになるのかも知れません.

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数学の理解についてもまた,一人ひとり脳は異なるし,また人生にわたる認識や理解の積み重ねも多様で当然異なります.それならば,共通原則はあっても,本人に完全にピッタリ合う理解の仕方は最終的には本人が見つけ出すしかない部分があるはずだ,と思うのです.何より上達したいという情熱を持つこと,そして,上達の契機を逃さないよう自分の感性と神経を研ぎ澄ませること.ちょっとオーバーめの表現かもしれませんが,でも一方,何にでも当てはまるような実にありきたりな話でもあると思います.数学の理解も,そんな中から生まれるのではないでしょうか.

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日記 | 11:46:29 | トラックバック(0) | コメント(0)

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