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谷口隆

Author:谷口隆
数学を題材に綴るというちょっと変なブログですが,楽しんでいただけたらと思います.いろいろな数学を取り上げ文字に起こすことで,『数学とはどんなものか?』ということを,読者の方と一緒に考えていきたいと思っています.本人は,整数論という数学の一分野を研究しています.1977年生まれ.
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連載コラム『数学者的思考回路』
(裳華房ウェブサイト,共著)

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本の紹介『数と図形』
数と図形
ラーデマッヘル,テープリッツ(著)
山崎三郎,鹿野健(訳)
ちくま学芸文庫:¥ 1,785


僕が高校生の頃,ちょっとハマった本です.どんな本かといいますと,数学の面白い話題を個別に拾い上げて,少ない予備知識(中3か高1ぐらいまでの数学)で分かるように解説したものです.22章に分かれた各章が読みきりで,読む側としてはどの章から読むこともできます.僕が読んだ当時は確か3000円ぐらいのハードカバーの単行本でした.長らく品切れだったので,個人的にはこの再版をとても喜んでいます.

22章の各テーマは,整数問題・平面図形・グラフ理論などの他,カントールの集合論や四色問題など数学史上大きな問題になったものも入っていて,バラエティ豊かです.また話の進め方もなかなかうまく,ポイントがぼやけないよう話をすっきりと絞る一方,問題によっては2通りの解法を説明して比較することもあり,話題の取捨選択の妙には,今読んでもなるほどなぁと思わされます.

著者による前書きはなかなかの名調子ですが,ここではそれは繰り返さないことにして(でも,立ち読みだけでもぜひどうぞ),代わりに訳者が書いた"はしがき"の読み方についての注意から,印象に残っていた一部分を引きたいと思います.

『 …本書の各項目は,理解すれば極めて面白いけれども,漠然と文字を追っただけではこれほど無味乾燥なものはないであろう.訳者は本書の全部を好い加減に読むよりは唯一項目を根本的に理解するまで読むことをお薦めする.また必ずしも順を追って読む必要はないから自分の好みの題目から入っていって結構である.… 』


当時の僕は高校生ながらにこの文にけっこうな感銘を受け,「22個全部制覇するのはどうにも無理だが,気に入ったものいくつかを隅々まで読んで理解するのならやれそうだ」と,最後まで読めそうなものを探しては読んでいったことを憶えています.結局のところ読んだのは10個未満,読み切れたものは更に少なかったのですが,読み方としては悪くなかったと思っています.

1700円というのは文庫本にしてはちょっと高いと思われる方もいらっしゃるかも知れませんが,22個のうち4個読めば一つあたり400円程度.これはきっと高くないと思いますよ(笑)


ところで実際にこの本を読んでいると,「ここの説明,意味が分からないなぁ」ということが,数学がかなり得意でない限りどうしても,章によっては出てくると思います.一番よいのは,数学好きの仲間と一緒に読み進めながらこういうとき議論するか,または先生など聞ける人がいればその方に尋ねることです.しかし,周囲にそんな人はいない,という方もおられるでしょう.実は数学をやって後々いちばん糧になるのは,ああでもないこうでもないと自分でうんうん唸って考える過程で身に付いたものにあるようです.だから分からないまま終わってしまう章があっても,それはそれで構わないと思います.とは言え,オチがつかないとすっきりしないという心理はパズルや謎解きのときと同様当然のこと,ひいては今後の読む士気にも影響するかも知れません.ですので,「十分考えたけれど分からなかった」という方でご相談なさりたい方は,お気軽にコメント等でお問い合わせください.一緒にお考えできたらと思います.もしたくさん質問や感想などのコメントが集まるようなら,掲示板を立ち上げるのもよいかも知れませんね.

数学好きのみなさん,一緒に数学しませんか?




(追記)このような教科書ではない"数学読本"について言われる問題に,より高度な数学―ここでは大学課程の数学―と直接には結びついていかないということがあります.そして,こういった生き生きとした内容をもつ数学と比べると,大学で教えられている数学は(少なくとも表面上は)無味乾燥です.
これは一方では,大学で教えられるべき内容が,高校までほど整理され分かりやすく伝えられていないという事情もあると個人的には考えていますが,他方,どのようなものであれ"基礎"の習得は地味で退屈な訓練を必要とするという面からもきています.ですので,このブログを読んでくださっている高校生・大学生の皆さんには,たとえ教える側にも問題があったとしても,大学の数学を「『数と図形』に比べたらずっとつまんない!」と言っておろそかにしないようお願いする次第です.
本などの紹介 | 21:33:34 | トラックバック(0) | コメント(0)
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