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谷口隆

Author:谷口隆
数学を題材に綴るというちょっと変なブログですが,楽しんでいただけたらと思います.いろいろな数学を取り上げ文字に起こすことで,『数学とはどんなものか?』ということを,読者の方と一緒に考えていきたいと思っています.本人は,整数論という数学の一分野を研究しています.1977年生まれ.
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連載コラム『数学者的思考回路』
(裳華房ウェブサイト,共著)

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構成論の紹介(その1)
裳華房の連載コラム『数学者的思考回路』の第17回「子供と学ぶ二度目の算数」に書いたような子供への接し方は、たまたま知った「構成論」という幼児教育の理論に少なからず影響を受けています。コラムの補足として、この「構成論」という理論について簡単に紹介したいと思っていたのですが、なかなかまとまりそうにありません。埒があかないので、思い切って、見切り発車でともかく書き始めることにしました。不完全な点があるかと思いますが、それでも何かご参考になることがあれば幸いです。


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構成論はピアジェという心理学者の心理学と認識論を幼少教育に応用した理論です。英語は constructivism です。

構成論によると、子どもは自分の知的な体系や道徳性を、自分自身で構成しながら(作り上げながら)成長します。もし、子どもが当初から大人と同じように物事を考えることができるならば、子どもはただ知識が不足している状態で、教育の目的は、知能を形成することではなく、知識を与え、つめ込むことになります。いわば出来上がったからっぽの「箱」にどんどん物を入れていくように。これに対し、構成論では、知的・道徳的に考える力の形成こそが教育の主要な目標になります。その中で知性や道徳性が有機的な体系をなすような「よい箱」を作る(構成する)ことこそが大切、というわけです。(「構成論」の「構成」はこの構成です。)

そして、このような力は外側からは形成することができません。構成するのは子ども自身であって、このために子どもは自発的に活動する、能動的な学習者となる必要があります。このため、教育において大人(教師)は、子どもに対する権威の行使や支配を最小限にとどめ、子どもたちの自発性・あそび・実験・思考・協同などを促すよき相談相手・導き手とならなければなりません。

構成論では、幼児は、事物への物理的な働きかけとその反応を関係づけることによって自らの認知的な構造を発展させていく(より知的になっていく)と考えます。幼児には、活動を伴わない思考がありえないからです。では、子どもはどのようなとき自発的に活動するものでしょうか。ピアジェは「興味」を構成的過程の「燃料」(エネルギー)と考えました。幼児にとって、興味や関心は自発的活動の中心をなすもので、それによって、子どもは知識と知能を構成します。興味というものがなければ、子どもは経験を理解しようとする努力をしないし、新奇なものへの興味がなければ、子どもは自分の考えを修正しようともしません。

だから、構成論に基づく教育は、子どもの活動に本来備わっている自発的興味を呼び起こすものでなければなりません。しかし、その方法がどのようなものであるかはあまりはっきりしていません。ピアジェ自身も「どのようにすれば子どもの自発的活動に訴えることができるかを知ることほど、大人にとってむずかしいことはない。」と述べています。かくして、この方法を見出すことが課題の一つになります。


(続きます。次回はピアジェが、子供たちのする「まちがった考え」に重要な価値を見出した点について書きたいと思います。)

参考文献:『ピアジェ理論と幼児教育の実践』(デブリーズ / コールバーグ著,加藤泰彦監訳,北大路書房)

コラム | 10:02:15 | トラックバック(0) | コメント(0)
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