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谷口隆

Author:谷口隆
数学を題材に綴るというちょっと変なブログですが,楽しんでいただけたらと思います.いろいろな数学を取り上げ文字に起こすことで,『数学とはどんなものか?』ということを,読者の方と一緒に考えていきたいと思っています.本人は,整数論という数学の一分野を研究しています.1977年生まれ.
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連載コラム『数学者的思考回路』
(裳華房ウェブサイト,共著)

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素数のレース・1--真剣な競争
『はいは~い,素数さん,二組に分かれてくださーい!では,よーい,ドン!!』

おっとこれは,冒頭から失礼しました.普段はとても仲のよい素数さんたちですが,いやだからこそ,時に真剣なレースをすることもあるというお話をしたいと思います.

まずどんなレースかを説明いたしましょう.素数は

2, 3, 5, 7, 11, 13, 17, 19, 23, 29, 31, ....

と並んでいます.このうち2以外の素数たちが,次のように1組3組に分かれます.

  1組   5, 13, 17, 29, 37, 41, 53, 61, 73, 89, 97, ...
  3組   3,  7, 11, 19, 23, 31, 43, 47, 59, 67, 71, 79, 83, ...

これは簡単な規則に沿った組分けなのですが,どんな規則かおわかりでしょうか??組の名前が1組・3組でちょっとヘンですが,これもその規則と関係があります.


この組分けは
4で割った余りが1になる素数→1組
4で割った余りが3になる素数→3組
という規則です.ちなみに余りは0や2になることはありません.というのも,4で割った余りが0,2ならその数は偶数です.つまり2を約数に持ってしまうのだから,2でない限り素数ではありません.(では1組にも3組にもいない2さんはどこに?---想像ですが,2さんはこのレースの審判をしているはずと僕は思っています.)

2組がなくて1組・3組というのはちょっと変かも知れません.しかし,赤組・白組などの名より,1組と3組の方が数学的には意味がはっきりしているので,ここでは1組・3組と呼ぶことにしたいと思います.ご了承ください.

さて,上の表に書いたのは100までの素数たちです.唐突ですが,登場した素数たちの個数を組ごとに数えてみましょう.すると1組は11個,3組は13個とわかります.3組の方が2個リードしていますが,2個ならわずかの差と言えるでしょうか.では200まででは?数えると1組は21個,3組は24個.相変わらず3組の方がちょっとリードしています.素数たちは,このようにしてレースを続けます.300まででは29個と32個,400まででは37個と40個...1000まで計って表にしました.

~以下101002003004005006007008009001000
1組の素数(個)111212937445159677480
3組の素数(個)213243240505765717987
3組のリード12333666457

面白いことに,いつ見ても3組の方が少しリードを取り続けています.3組はこの先もずっとリードを続け,あるいは更にリードを広げていくのでしょうか?それとも,いつか1組が逆転することがあるのでしょうか?

もう少し先まで調べてみましょう.(この辺からはコンピューターがたよりです.)

~以下10002000300050007000100001500020000
1組の素数(個)801472113294426098661125
3組の素数(個)871552183394576198871136
3組のリード7871015102111

依然として3組がリードしています.表にしたのは区切りのよいいくつかの地点だけですが,この20000までの間,一度も逆転はありません.でもリードがどんどん広がっていくかというと,どうやらそうとも言い切れないようです.1000のときに7だったリードは10000になってもようやく10で,その後いったん20を超えるものの,20000でも11のリードでしかありません.

そして,ドラマが起きます!26849のところで両組は並び,26861でついに1組は1473個となって3組1472個を逆転するのです.---しかし,この逆転は長くは続きません.3組は直後の26863で追いつき,その後再びリードを取ります.そして1組の次の逆転は616481まで待たねばなりません.この逆転はしばらく続きますが,633799で3組が追いつき,その後再び3組が先頭を走ります.その後少なくとも1000万までは逆転はありません.(ところが,1200万過ぎの12306137で逆転があります!)

さてこの素数たちのレース,どこかで決着がつくのでしょうか.それとも,抜きつ抜かれつが永遠に繰り返されるのでしょうか.またそうだとしても,3組がリードしていることがずっと多いのはこれからもそうなのでしょうか.それは何らかの方法で説明がつくのでしょうか.組分けの規則を変えたらどんなレースになるのでしょうか.次回はこれらの問いについて,これまでの数学者の研究でどんなことが分かってきたかをお話したいと思います.

コラム | 00:41:56 | トラックバック(0) | コメント(2)
コメント
□さん文才ありますねー!めちゃくちゃ面白いです。続きが気になる!
2011-03-06 日 18:56:43 | URL | minopapa [編集]
minopapa さん,コメントどうもありがとう.すっかりご無沙汰しております.□さんという呼び名も少し懐かしい気分です.(今もそう呼ばれることもあるけど.)今回のは実は僕もつい最近知った(勉強した)ばかりの話です.どうぞ続きをお楽しみに!
2011-03-07 月 18:47:07 | URL | 谷口隆 [編集]
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