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谷口隆

Author:谷口隆
数学を題材に綴るというちょっと変なブログですが,楽しんでいただけたらと思います.いろいろな数学を取り上げ文字に起こすことで,『数学とはどんなものか?』ということを,読者の方と一緒に考えていきたいと思っています.本人は,整数論という数学の一分野を研究しています.1977年生まれ.
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連載コラム『数学者的思考回路』
(裳華房ウェブサイト,共著)

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本の紹介『すうがく博物誌』
すうがく博物誌
森毅(著) 安野光雅(絵)
童話屋


僕が気に入っている数学の事典です.1ページに1項目ですべて挿絵つき!親しみやすい本です.しかも文章は大抵5行~10行ぐらいの短さにおさまっているので,とっても読みやすい.(←僕も見習いたい.)事典なので,好きなページから読めます.

内容は,数学用語の解説の他,数学者のエピソード・数学史・数学教育などが書いてあって,数学パズルになっているのもあります.たまに「これって数学とあんまり関係ないんじゃ‥?いやまぁ,気にせんでいいか」みたいなとぼけたページに出くわすこともあります.挿絵もユーモラスなので,内容が分かっても分からなくても,楽しく読めると思います.

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ところがこの本,僕が気に入っている割には,知り合いに貸しても反応がもひとつのことも多く,また数学関係者でこの本を誉めている人にも全然会わないのです(!).僕のセンスがずれているのだろうか,それにしてもこのままひっそりと絶版になってしまうのか,それは残念だなぁと思っていました.(この前神戸のジュンク堂行ったらに平積みになってたので,ちょっと安心しました.)

何かネックがあるかなと思って読み直してみました.中には高度な内容の項目もあります.一読しただけでは,完全には分からない項目が多い,ということがあるのかな,と思いました.説明文が短いぶん含みが多いというか暗示的というか,読者が考えなければならない部分が増えているとも言えます.でも,内容のあるものを身につけるのは,なんにせよ時間がかかります.すぐに分かるようでは逆につまらない.分からなくとも折に触れて戻ってきて考えることを繰り返す,そのようにしてしか身につかないようなものもあります.数学が好きな方には,そのように数学を考えることを楽しんでいただければ,と思っています.

森毅さんのあとがきには次のように書いてあります.
『この本はだれに読ますつもりだ,と訊かれるとつらい.かなを振って,小学校の高学年からでも,ところどころ読んでほしいと思うけれど,内容をぜんぶ理解するには,大学の数学科を卒業してもらわねばなるまい.もっとも,これは数学へのガイド・ブックではない.アルプスへ登るためのガイドだと大変だろうが,山に登る前に,そこに咲くエーデルワイスの花を見るのもいいではないか.』

小学生でも読める項目は確かにいくつもありますが,大学の数学科を卒業してもぜんぶ完全に理解するのは難しい気が‥というか,正直に言いますと,物理も関係する話は,僕もいまだによく分からないものが若干(苦笑).

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ひらがなで「すうがく」なのは,実は数学と数楽をかけているからということだそうです.簡単なものから高度なものまでないまぜに紹介しているのがこの本のよいところだと思います.好みもある(?)かもしれませんが,あっちこっち気ままに開いて,あれこれ意味を考えたり,気に入ったページを見つけたりする.そんな読み方はいかがでしょうか.


この本の出版は,今から30年前の1982年でした.この間,数学にもいろんな出来事がありました.今なら新しい項目ができたり,同じ項目でも説明が変わるものがあったりするでしょう.でも改訂するには森さんは他界されましたし,他の人ではこの本のユニークなスタイルに沿って書くのはなかなか難しそうです.古いから悪くなってるわけではないので,ここは森さんと安野さん流の数学解説を楽しむのがよいと思っています.
本などの紹介 | 07:31:03 | トラックバック(0) | コメント(0)
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