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谷口隆

Author:谷口隆
数学を題材に綴るというちょっと変なブログですが,楽しんでいただけたらと思います.いろいろな数学を取り上げ文字に起こすことで,『数学とはどんなものか?』ということを,読者の方と一緒に考えていきたいと思っています.本人は,整数論という数学の一分野を研究しています.1977年生まれ.
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連載コラム『数学者的思考回路』
(裳華房ウェブサイト,共著)

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バルガバさん
数学セミナー2015-1以前に時枝さんの連載が載っていると紹介した月刊誌『数学セミナー』の最新号は、今年あった国際数学者会議の特集号です。この会議は4年に1度開かれる数学界最大の国際的会合で、フィールズ賞もここで授与されます。今回は8月に韓国で開かれました。縁あって、4人のフィールズ賞受賞者の一人であるマンジュール・バルガバ(Manjul Bhargava)さんの業績紹介を数学セミナーに書きました。雑誌は今日から発売です。

『数学セミナー』 2015年1月号の目次

最近はフィールズ賞の授与に伴って、受賞者のプロモーションビデオが作られています。3分ほどの内容で、今は You Tube からもバルガバさんのビデオを見ることができます。

2014 Fields Medalist : Manjul Bhargava

インド人の血を引くバルガバさんは、タブラというインドの太鼓の熟達した奏者でもあり、ビデオの冒頭はタブラの演奏から始まっています。

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バルガバさんの専門は整数論です。フィールズ賞は、その分野の最先端の技術を総動員して大きな未解決問題を解いた(そして研究のステージを一段階進めた)ことに対し与えられることも多いですが、バルガバさんの研究はそれとはやや趣が異なります。バルガバさんは昔ながらのテーマを研究しつつ、そこに誰もが想像しなかったような鮮やかな数学的構造を幾つも見出しました。それによって、「楕円曲線の平均階数が有限である(より強く1未満である)」など、アプローチの見込みがないと考えられていたような問題を解決し、数学者に大きな驚きを与えています。これまでの受賞歴も大変華やかです。記事では受賞理由となった、数の幾何(geometry of numbers)とその応用に関する業績について、背景や問題意識から解説しました。

バルガバさんの研究はいずれも独特の鮮やかさと明晰さを備えていて,それが正しい理論の形だと人に感じさせる力があるように思われます.

科学雑誌などのバルガバさんのインタビューでは、話が音楽に及ぶことがあります。ご本人にとっては数学にもリズムやピッチがあり、音楽と数学という大きく異なる主題が意識の外で間接的に結びつき、数学の着想が得られることがあると話しています。---人間の思索は別のことを無心にしているときに無意識に進むことも多いことを思えば、これは特に不思議な話ではないかも知れません。それでも、自分にとっての音楽の役割を言葉にして語っているのは少し珍しく、ご本人の数学観や数学者としてのスタイルが現れていると言っていいのではないかと思います。

もしよければご覧になってみてください。 Amazon (なお、記事の最後に書いた文献案内のページはこちらです。)

本などの紹介 | 07:04:09 | トラックバック(0) | コメント(0)
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